ハードワークエンジニアのひととき

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2の3. 回路設計 をするためにICを使いこなす : ICリファレンス回路が理解できるようになろう

ICを使いこなすとは

最近では純粋なアナログ回路というものは減ってきており、多くの製品はICとそのICを動かすための周辺回路で出来上がっています。つまり、ICをいかに正しく使いこなせるか?が基本スキルの一つになっています。

ICを動作させるための推奨回路というものが必ずあります。なぜなら、ICを設計した際に意図通りに正しく動作している事が確認できる基準となる周辺回路が必要だからです。その回路が無いとICが設計通りに正常に動作するか、あるいは動作していないかの判別ができないからです。

そう考えるとICを使いこなすには当然のようにIC周辺回路の理解がまず必要となります。

でも心配は不要です。ICを使うための取扱説明書として、データシートアプリケーションノート(ICの使い方が詳しく書いている小冊子です)といったものをICメーカが準備しており、取り扱いについて詳しい記載がありますので内容をよく理解すれば使いこなす事ができます。
現在の回路設計においては、ICをまともに動かすことができれば三分の一程度の回路設計は終わったと言っても過言では無いです。

データシートとは

ICを含めて電子部品のデータシート(仕様書)の一般的な構成は決まっています。
まず、最初のページに製品概要・主な仕様/特徴およびその部品のアプリケーション例が簡単に記載されています。次に目次があり、その後は目次に従った順に詳細の内容が記載されています。
記載される順番は多少前後しますが、ほぼ以下の内容が順番に記載されています。

最大定格仕様、動作仕様、端子配置図、端子機能表、制御シーケンス/コマンド、詳細性能仕様/特性グラフ、外観寸法図、リフロー実装条件、信頼性性能、保管条件など取り扱い上の注意点。
また、仕様書とは別に、アプリケーションノートなどという名前でその部品の詳細な使い方、つまり周辺回路の定数決定方法を含む推奨回路図や制御タイミングや性能特性グラフなどが別冊で準備されていることも多いです。
実際の設計では、これらのドキュメントを理解するとともに、不明点は部品メーカのエンジニア(営業担当者を経由する場合もあり)とコンタクトして製品設計を進めていくことになります。

更に複数のエンジニアがいる恵まれた開発環境であれば、回路デザインレビューとして、皆で回路図を確認し、単純ミスなどの誤りが無いか、より良い設計案が無いかなどレビューを行い回路図を完成させることはとても有効です。

この後、試作基板作成・回路定数検討・性能評価を数回繰り返すことで、回路図面と基板図面つまり製品の電気的な構成部分が仕上がっていくことになります。