ハードワークエンジニアのひととき

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電子機器・電子回路の設計及び評価についての基本的な取り組み方

電子機器・電子回路の設計および検討の勘所として、電子回路には、大きく、電源系、信号系、制御系の3つの回路系統に分類できることを理解することです。
これら3つの系統はお互いに密接に関係しており、個々の回路として完全に分離することは出来ないため、回路評価・検討は一筋縄にはいかないですが、まずは各系統ごとに着目することで比較的容易になります。

まずは大前提として・・・

各系統の動作確認には測定器を使用しますので、回路評価の前には、測定環境に問題が無いことを確認しておきましょう。

測定値がおかしい時は意外と測定器が故障している場合が往々にしてあります
特に、何かの回路検討するその日一番に測定器の電源を入れる際には、よく確認(始業時確認)しておくべきです。
オシロスコープのプローブや同軸ケーブルの中途半端な断線で一日をつぶしてしまう事の無いに・・・。


各系統のチェックポイントは・・・

1.電源系
各電子部品や回路モジュールへの電源供給を行う回路系統です。
根源となる電源回路から所望の電圧が出力されているでしょうか?
各部品に必要とされる電圧に対して、高電圧や低電圧になっていないでしょうか?
リップルやスパイクノイズといった重畳ノイズが信号系の性能に対して悪影響を与えるレベルになっていないでしょうか?

2.信号系
INPUTされた信号(情報)を処理の後、次段の回路に正しくOUTPUTする回路が一つ以上連続した回路系統です。
ここで言う処理とは、アナログ回路的には増幅・減衰・波形成形・周波数変換などがあり、デジタル信号処理的には、演算(フィルタリング・算術)があります。
これらのINPUTとOUTPUTの波形(データ)は想定通りになっているか?電圧レベルやロジックは正しくできているか?

3.制御系
ICを含む回路ブロックのON/OFFや複数の信号線を適切な動作タイミングでコントロールする回路系統です。
各回路やICが正しいタイミングで制御が出来ていないと、電子機器・電子回路全体の動作に様々な不具合を生じてしまいます。
例えばICのリセットタイミングや各信号線の制御タイミングや電圧レベルに異常が無いかチェックしましょう。

もし、それぞれの系統に不具合があることが分かった場合は、回路定数の変更で改善できることもありますが、根本的に基板配線デザインを変更する必要がある場合も多いです

試作のやり直しを減らすには、複雑な回路になればなるほど、基板配線設計に十分に時間をかけるようにすべきと思います。